Research Press Release
ストレスの多い条件下での代謝調節
Nature Cell Biology
2011年8月15日
飢餓とか寒冷のようなストレスへの適応は、E2F1と呼ばれるタンパク質に一部依存して行われているようだ。この知見は、ストレスの多い環境条件に曝露された際に細胞が分子レベルでそれに対処する重要な方法を明らかにしている。
L Fajasたちは、E2F1を欠失するマウスは、運動による疲労を起こしにくく、絶食あるいは寒冷条件下に置かれた後にも高い体温を維持できることを見いだした。この観察結果は、E2F1が代謝調節にかかわっていることを示唆している。実際、E2F1が欠失すると酸化的代謝に重要な遺伝子の発現が増大することがわかった。つまり、E2F1は本来この種の代謝を抑制するように働いていると考えられる。
さらなる研究によって、E2F1のこの代謝調節機能が、細胞周期の進行におけるE2F1のよく知られている役割とどのように統合されているのか、それについての手がかりが得られた。これらの知見は、E2F1が細胞増殖と代謝を連結するという重要な位置で機能していることを裏付けている。
doi:10.1038/ncb2309
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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