動物行動学:飼い犬に普通に見られる不安や問題行動について
Scientific Reports
2020年3月6日
犬の種類を問わず普通に見られるとされる不安や問題行動について詳しく調べた結果を報告する論文が、Scientific Reports に掲載される。今回の研究で、最も一般的な不安様形質が騒音感受性で、その次が恐怖心であることが示唆されている。
今回、Hannes Lohiたちの研究チームは、フィンランドの飼い犬(1万3700頭)について、飼い主の報告に基づいた調査を行い、72.5%の飼い犬が問題行動(攻撃性、恐怖心など)を示したことを明らかにした。最も多かった不安様形質は騒音感受性で、32%の飼い犬が1種類以上の騒音を怖がり、花火を特異的に怖がった犬が26%いた。2番目に多い不安様形質は恐怖心で、29%の犬に見られた。具体的には、他の犬に対する恐怖心(17%)、見知らぬ人間に対する恐怖心(15%)、新たな状況に対する恐怖心(11%)だった。
騒音感受性、特に雷に対する恐怖心は、高所や地面(例えば、金属の格子板やピカピカの床)を怖がることと同じように年齢とともに高くなった。若齢の犬は、放置されると物品を損傷し、物品に放尿することが、老齢の犬よりも多く、注意力が散漫になったり、極度に活発になったり、自分の尻尾を追いかけたりすることも多かった。雌犬は恐怖心を示すことが多かったが、雄犬は、雌犬よりも攻撃的で、過度に活発で、衝動的になることが多かった。
Lohiたちは、犬種間の違いについても明らかにした。騒音感受性が最も強かったのがロマーニョ・ウォーター・ドッグ、ホイートンテリアと雑種で、恐怖心が最も強かったのがスパニッシュ・ウォーター・ドッグ、シェットランド・シープドッグと雑種だった、ミニチュア・シュナウザーの10.6%が見知らぬ人間に対して攻撃性を示したが、ラブラドール・レトリーバーでは0.4%にすぎなかった。
今回の研究によって得られた数々の知見は、犬の不安や行動に関する問題が犬種間で共通している可能性を示唆している。こうした状態になる犬を減らすには、例えば、繁殖政策の実施や生活環境の改善などに注力すべきだとLohiたちは指摘している。
doi:10.1038/s41598-020-59837-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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