Research Press Release

【免疫学】隠れているHIVを引っ張り出す

Nature

2020年1月23日

Immunology: Bringing HIV out of hiding

このほど行われた動物研究で、HIV潜伏感染を除去する2つの方法が明らかになり、これによってHIVを排除できる可能性が高まるかもしれないことを説明した論文が、今週掲載される。

HIVは、細胞内に潜伏して、免疫系から「隠れる」ことができるため、現在の抗レトロウイルス療法では、HIV感染を完全に排除できない。これまでは、長期間のウイルス抑制療法によってHIV感染を根絶できるのかどうかの研究が集中的に行われてきた。「ショック・アンド・キル(shock and kill)」療法では、HIVに潜在感染した細胞からHIVを追い出してから除去する必要がある。これまでのところ、HIVに「ショック」を与えて追い出す試みは成功していないか、効率的な方法になっていない。

今回掲載される2編の論文には、マカクザルにおけるSIVとヒト化マウスにおけるHIVのロバストな再活性化を達成するための2つの異なる方法が実証されたことが報告されている。Guido Silvestriたちの研究チームは、インターロイキン15(免疫応答に必須のシグナル伝達分子)を活性化し、CD8+リンパ球(ウイルスの転写を抑制すると考えられている免疫細胞)を枯渇させる複合的アプローチを用いて、このアプローチで処置された動物個体すべてにおいて相当程度の持続的なウイルス再活性化を達成した。一方、Victor Garciaたちの研究チームは、NF-κBシグナル伝達経路を活性化する薬剤を用いた。これが、ウイルスを排除しやすくする可能性のあるHIV遺伝子発現を引き起こした。

これらのショック療法は、再活性化ウイルスの排除を達成するために「キル」成分と組み合わせる必要があるが、潜伏感染を除去する方法として、これまでに実証されたものの中で最も強力な方法であり、ウイルスの潜伏感染を維持する機構に関する知見をもたらしている。

doi:10.1038/s41586-020-1946-0

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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