Research Press Release

【生態学】既知最古の長期保育の例

Nature Ecology & Evolution

2019年12月24日

これまで知られていなかった単弓類種(現在のオオトカゲに似た動物)の化石について報告する論文が掲載される。約3億900万年前のものであるその標本には、成体1頭およびその後肢の後ろにいて尾で囲われている同族の幼体1頭が含まれ、従来の想定から4000万年さかのぼる年代に長期保育(extended parental care)が始まったことを示唆している。

現在、長期保育としても知られる生後の子の保育は、鳥類、爬虫類、哺乳類、魚類、両生類などの多くの脊椎動物に広く見られるが、他の動物群では見られない。過去の研究からは、ペルム紀(2億9800万~2億5100万年前)の南アフリカのvaranopid単弓類Heleosaurus scholtziの化石に見られるものが長期保育の最初の例であることが示唆されている。しかし、親と幼生が一緒に保存されている証拠はめったに発見されないため、その行動の進化を追うことは容易でない。

Hillary Maddinたちは、石炭紀のカナダ・ノバスコシア州で木のような切り株の中に関節がつながった状態で一緒に保存されていたDendromaia unamakiensisというvaranopidの成体と幼体の部分骨格について紹介している。研究チームは、切り株内部の隠された場所がその親子の巣になっていて、そこで親が子を守りながら長時間過ごしていたのではないかと考えている。

D. unamakiensisのようなvaranopidが正確には動物系統樹のどこに当てはまるのかについての解釈は、議論のある問題である。旧来、この動物群は哺乳類の祖先である単弓類として分類されてきた。同時掲載される別の論文では、David FordとRoger Bensonが、varanopidは、哺乳類と近縁ではなく、後にワニ類、トカゲ類、ヘビ類、カメ類、鳥類を生じた「双弓類」という爬虫類群の一部だったのではないことを示している。

doi:10.1038/s41559-019-1030-z

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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