【海洋生物学】酸性化した海洋でサメの鱗が侵食される
Scientific Reports
2019年12月20日
二酸化炭素濃度の高い(酸性化した)海水に長期間さらされると、モヨウウチキトラザメの皮膚を覆っている歯のような鱗(小歯状突起)が侵食される可能性のあることを報告する論文が掲載される。人間の活動によって海洋の二酸化炭素濃度が上昇しているため、海洋の酸性度が上昇して、海洋野生生物に影響を及ぶ可能性が生じている。酸性化した水の影響については、これまでにいくつかの生物種を対象とした研究が行われているが、長期曝露の結果としての小歯状突起の侵食が初めて観察された。
今回、Lutz Auerswaldたちの研究グループは、モヨウウチキトラザメを使って、酸性化した海水への曝露の影響を調査した。酸性化した海水中で9週間飼育した3匹において、小歯状突起の平均25%が損傷していた。非酸性の水で飼育した3匹のサメ(対照群)では小歯状突起の9.2%が損傷していた。Auerswaldたちは、小歯状突起の表面がサメの遊泳速度に影響するため、小歯状突起の侵食は、サメの皮膚の保護と外洋に生息するサメの遊泳能力を損なう可能性があるという考えを示している。さらにAuerswaldたちは、(構造と組成が小歯状突起と同じ)サメの歯にも同様の侵食が起こり、摂食に悪影響を与えるかもしれないと推測している。
しかし、Auerswaldたちは、酸性化した海水中にさまざまな期間にわたって飼育されていた合計36匹のサメから採取した血液中の二酸化炭素濃度の上昇と曝露との間に関連が認められたが、血液中の炭酸塩濃度も上昇していたことも明らかにした。炭酸塩は血液の酸性化を防ぐため、これらのサメは、酸性化した海水に曝露された期間中に高濃度の二酸化炭素条件に適応できることが示唆されている。
doi:10.1038/s41598-019-54795-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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