Research Press Release
【進化】現生人類の最終共通祖先のバーチャルな頭蓋骨
Nature Communications
2019年9月11日
全ての現生人類の最も近い共通祖先の頭蓋骨の仮想モデルを紹介する論文が掲載される。この研究成果は、ホモ・サピエンスの複雑な進化に関する手掛かりになると考えられる。
今回、Aurelien MounierとMarta Mirazon Lahrは、現生人類集団(21集団)と化石人類集団(5集団)の頭蓋骨263点を調べ、系統発生的モデル化によって、全ての現生人類の最も近い共通祖先の頭蓋骨を仮説的仮想モデルとして再現した。次にMounierとLahrは、このバーチャルな頭蓋骨と中期更新世後期(約35万~13万年前)のアフリカのヒト族化石5点を比較して、このヒト族の集団が、ホモ・サピエンスの起源にどのような役割を果たしたのかを評価した。
MounierとLahrは、これらのヒト族の系統がホモ・サピエンスの起源に等しく寄与したわけではなかったとする考えを示している。今回の研究結果は、ホモ・サピエンスがアフリカ南部の起源集団の合体、場合によってはそれに加えてアフリカ東部の起源集団との合体から生じた可能性があるという学説を裏付けている。また、MounierとLahrは、今回の研究で検討された化石の1つであるIrhoud 1がネアンデルタール人に形態が近いため、ホモ・サピエンスの起源がアフリカ北部である可能性は低いと主張している。
doi:10.1038/s41467-019-11213-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
気候変動:ペリト・モレノ氷河の後退が最近大幅に加速Communications Earth & Environment
-
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
気候変動:鉱物資源の不足が低炭素化移行を制限する可能性Nature Climate Change
-
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature