【医学研究】胃酸を減らす処方薬がアレルギーの発症リスクを高めている
Nature Communications
2019年7月31日
オーストリアの800万件以上の医療保険記録を分析した結果、胃酸を減らす処方薬の服用が、アレルギーの発症リスクが高いことと関連していることが明らかになった。この研究により、これまで実験的観察だったことが現実世界で確認された。この結果について報告する論文が、今週掲載される。
免疫系は、食物や環境に由来する分子には寛容なのが通例だが、それらに過敏な免疫系を持ち、アレルギーを発症する人々がいる。過敏症の発症過程は、現在のところ明らかになっていないが、先進国におけるアレルギー疾患の増加には生活様式の変化が関係している可能性が示唆されている。胃の中の酸性環境は、食物由来のタンパク質を小さな断片に分解する上で役立っている。胃潰瘍の治療によく用いられる胃酸抑制剤は、この食物の消化を妨げることがある。そのため、大きなタンパク質断片が腸管に到達して、アレルギー誘発分子として免疫系に作用することがある。
こうした過程が公衆衛生にどの程度の影響を及ぼすのかという点について、Erika Jensen-Jarolimたちの研究グループが評価を行った。この研究では、オーストリアの人口の97%に関する処方薬の記録を4年間(2009~2013年)にわたって調査し、処方された胃酸抑制剤を使用した場合にその後の数年間に抗アレルギー薬を必要とする確率が2倍であることが明らかになった。このリスクは、1年間に6日分を服用した患者に認められ、使用頻度が増すにつれてリスクが高くなった。このリスクは、女性と高齢者において高かった。以上の研究知見は、胃酸抑制剤を服用する際には、その健康上の利点と潜在的リスクを慎重に比較検討する必要があることを示唆している。
doi:10.1038/s41467-019-10914-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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