2000年から2017年のアフリカ諸国における完全母乳育児の状況
Nature Medicine
2019年7月23日
2025年までに完全母乳育児を世界の50%以上に普及させようという世界保健機関(WHO)の目標を、アフリカ大陸の国々のほとんどは達成できそうもないという新しい調査結果が報告された。
完全母乳育児とは、他の食品やミルク、水などを足さずに、母乳だけを与える育児法で、出生後の最初の6か月間を完全母乳で育てるのは、小児の死亡率を低下させる最も効果的な方法の1つと考えられている。2014年、WHOの加盟国は母親、乳幼児と子どもの栄養改善を目指して、2025年までに達成すべき国際栄養目標を設定した。完全母乳育児の普及はその1つである
S Hayたちは、アフリカの49か国での完全母乳育児の普及の状況と動向について、詳細な地理空間的解析を行った。2017年の時点で、6か月未満の乳児のうち完全に母乳だけで育てられているのは37%にとどまることが明らかになり、この値はアフリカの各国の間でかなりばらつくことが判明した。さらに、2025年までにWHOの普及目標の50%を達成するための努力が順調に進んでいるのは、解析した49か国のうち18か国に過ぎないことも分かった。
この研究について論じたNews & Views(Nat. Med. 25, 1190–1191(2019))では、P Reimersたちが国レベル、地域レベルでの政策立案と実行についての情報を得るのにこの研究が非常に役に立つことを指摘している。彼らはまた、完全母乳育児の推進策を考える際には、社会や共同体の状況に加えて、母親と子どもの実際の生活を把握することが基本的にまず必要だと強調している。
doi:10.1038/s41591-019-0525-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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