Research Press Release

国際貿易が世界の鳥類多様性を低下させる

Nature Ecology & Evolution

2019年3月5日

2000~2011年にかけて、人口の増加と経済の規模拡大が、ますます多くの鳥類種を絶滅に向かわせ、世界の炭素貯蔵量を減少させたことを明らかにした論文が、今週掲載され。

経済発展と人口増加は、農林産物の需要を創出し、自然生息地の利用可能地への転換を強化している。持続可能な管理を実践しなければ、こうした要因は生物多様性や生態系プロセス(炭素貯蔵など)に悪影響を及ぼしかねない。

Alexandra Marquesたちは今回、生物物理学的モデルと経済モデルを組み合わせることにより、2000~2011年の間に土地利用活動によって絶滅の危機にさらされた鳥類種が121種に上ったと推定した。(ちなみに、16世紀初頭以降に世界で絶滅した鳥類種は140種と推定されている。)

同時期には、隔離された炭素の減少量が6%拡大した。鳥類絶滅のほぼ3分の1は牛畜産業が原因と考えられるが、生物多様性に対する影響の増加には油糧種子(パーム油や大豆油など)の生産が最も強く関係していた。また、材木および木質燃料抽出のための林業活動が、炭素貯蔵能力を約30%低下させたことも分かった。

Marquesたちは、商品の生産地と消費地との分離が進んでいることを実証するため、国際的サプライチェーンを結んだ。その結果、2011年には、中南米の生物多様性への影響の33%、アフリカの生物多様性への影響の26%が、世界の他の地域での商品消費によって生じていたことが明らかになった。Marquesたちは、生物多様性の危機に対処するためには、各国政府が自国の経済活動による他地域への影響を認識して、世界の生物多様性に対する影響の小さな経済発展への転換を促進するべきであると示唆している。

doi:10.1038/s41559-019-0824-3

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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