【ゲノム編集】CRISPR-Cas9ゲノム編集によるオフターゲット変異を検出するシステムがマウスで検証される
Nature
2018年9月13日
CRISPR-Cas9ゲノム編集においてゲノム全体で見られるオフターゲット効果を検出する点で有効なシステムをマウスで検証した結果を報告する論文が、今週に掲載される。この研究知見は、ゲノム編集の臨床応用に関する研究の一助となる可能性がある。
CRISPR-Cas9ゲノム編集においてゲノム全体で見られるオフターゲット効果を検出する点で有効なシステムをマウスで検証した結果を報告する論文が、今週に掲載される。この研究知見は、ゲノム編集の臨床応用に関する研究の一助となる可能性がある。
今回、J Keith Joung、Marcello Marescaたちの研究グループは、CRISPR-Cas9ゲノム編集による、in vivoのオフターゲット変異を同定できる高感度な方法「verification of in vivo off-targets(VIVO)」について説明している。VIVOでは、最初にオフターゲット変異が生じる可能性のある部位を突き止めた上で、ゲノム編集後に変異した部位がないかどうかの確認が行われる。J Keith Joungたちは、マウスの肝臓を用いて、マウスのPcsk9遺伝子を標的とする異なるガイドRNA(gRNA)を設計し、「見境のない」gRNA(つまり、多くの部位を標的にできるgRNA)および特異性の高いgRNAを設計して、このシステムの精度を検証した。そして、「見境のない」gRNAが引き起こしたオフターゲット変異(発生頻度が0.13%以上の変異を含む)がVIVOによって数十個検出されただけでなく、適切に設計されたgRNAでは、検出可能なオフターゲット変異がなかったことも明らかになった。
この研究グループは、VIVOが実際のゲノム編集におけるオフターゲット効果を定義する上で重要な基準を打ち立て、gRNAの特異性をできるだけ高く設計することの重要性を実証したと考えている。
doi:10.1038/s41586-018-0500-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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