Research Press Release
		
			
        
		
		【気候科学】華北平原の熱波は灌漑によって激化する
Nature Communications
2018年8月1日
温室効果ガス排出量が削減されないシナリオでは、華北平原での殺人的な熱波が激化する可能性が高いことを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究では、高分解能モデルによるシミュレーションが行われ、十分に灌漑された農業地域における湿球温度(気温と湿度の統合指標)が、人間が生存できる1日の最大閾値を超える可能性が高まることが明らかになった。
華北平原は降水量が少ないため、農業地域では灌漑が必要だ。しかし、灌漑は、地表面の湿度を上昇させて、熱波の激化に寄与することがある。この地域では、殺人的な熱波(湿球温度が摂氏35度を超える状態が6時間以上継続すること、と定義される)が増えることが予想されているが、この殺人的な熱波に対する灌漑の影響を調べた研究はなかった。
今回、Elfatih EltahirとSuchul Kangは、高分解能モデルを用いて、温室効果ガス排出量が削減されないシナリオでは、灌漑によって華北平原での殺人的な熱波がさらに激化することを明らかにした。灌漑と気候変動の複合的影響による湿球温度の上昇幅(摂氏3.9度)は、それぞれ単独の影響による上昇幅(灌漑:摂氏0.5度、気候変動:摂氏2.9度)よりも大きく、今回の研究で、熱波における湿度の果たす重要な役割が確認された。
doi:10.1038/s41467-018-05252-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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