ナノダイヤモンドを伴った宇宙の特異なマイクロ波放射
Nature Astronomy
2018年6月12日
星の周囲に発見されたナノメートルサイズの回転するダイヤモンドが、特異な電波周波数の放射源であることを明らかにした論文が、今週掲載される。
特異なマイクロ波放射(AME)は、20世紀後半から21世紀にかけての宇宙マイクロ波背景放射の観測中に、予想外に発見された。AMEは、10~60ギガヘルツの周波数で観測され、前景に存在する物体の影響として大規模に見られる。
AMEは当初、多環芳香族炭化水素でできた高速回転する塵粒子によって生じると考えられた。しかし、最近の研究によって、AMEと銀河系におけるこれらの塵粒子の凝集との位置的な相互相関が否定され、この理論に疑いが投げ掛けられた。
Jane Greavesらは、3種類の異なる電波望遠鏡を用いて、14の高温な若い星系の原始惑星系円盤を観測し、付随物ではなく、円盤自体からの放射を注意深く抽出した。その結果、3つの星系からAMEが放射されていることが確認された。これまでの近赤外線での研究によると、水素化ナノダイヤモンドが存在することが知られている星系はこの3つだけである。著者らは、AMEを放射し、かつ水素化ナノダイヤモンドが存在するという2つの条件がそろう可能性は、0.003%であると算出した。
ナノダイヤモンドは、地球上で見られる隕石や、今回の研究で観測された星よりもかなり暗い太陽の周辺で起こった惑星形成過程の残骸の一般的な成分である。宇宙には太陽のような星はたくさんあるため、ナノダイヤモンドも星の周囲にありふれていると考えられるが、今回の研究では、ナノダイヤモンドを見て、星が明るく輝いているときにナノダイヤモンドとAMEの関連性を確認したのみである。
doi:10.1038/s41550-018-0495-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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