【天文学】ビッグバンから2億5000万年後に星形成があった
Nature
2018年5月17日
宇宙の誕生からわずか2億5000万年後(現在の宇宙の年齢の2%相当)に、極めて遠方にある銀河で星形成が始まったことを示唆する論文が、今週掲載される。
「第一世代の星がいつ誕生したのか」という疑問は、現代天文学における最大の疑問の1つだが、宇宙の誕生から3億年間における星と銀河の形成がどのようなものだったのかについての理解は不十分なままだ。
この論文で、大阪産業大学の橋本拓也(はしもと・ たくや)たちの研究グループは、2016年3月~2017年4月に実施された遠方の銀河MACS1149-JD1の分光観測結果を報告している。その赤方偏移(地球からの距離を導き出す際に用いるパラメーター)は9.1096であり、この観測結果は、宇宙の年齢が約5億5000万年だった頃のMACS1149-JD1の状況を示していると示唆される。橋本たちは、この正確に測定された赤方偏移を用いて、MACS1149-JD1について観測された赤色が星の成分を示すことを実証した上で、当時のMACS1149-JD1に含まれる多くの星の年齢が約3億年であり、ビッグバンから最短で2億5000万年後には星形成が始まった可能性があるという考えを示している。
同時掲載のNews & Viewsで、Rychard Bouwensは「今回の彼らの発見により、遠方の宇宙における他の銀河に関する類似の研究が触発され、将来のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を用いた観測に弾みがつくのは確実だろう」と結論付けている。
doi:10.1038/s41586-018-0117-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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