Research Press Release
鳥類が渡りを行うのはエネルギーを節約するためである
Nature Ecology & Evolution
2018年5月8日
鳥が渡りを行うのは、エネルギーの摂取と支出とのバランスを最適化させるためであることを明らかにした論文が、今週掲載される。この規則は渡りを行わない種にも当てはまり、世界の全鳥類の分布を包括的に説明するものである。
世界の鳥類種の約15%は繁殖地とそれ以外の生息地との間で渡りを行い、それにより、例えば食物の不足や冬季の厳しい天候から逃れることができる。しかし、渡り鳥と渡りを行わない鳥の全ての種に共通して移動を行わせている要因は、これまで明らかにできていない。
Marius Somveilleたちは、世界の渡り鳥種の移動パターンを使い、移動、生殖、および体温調節の代謝コストに関する理論に基づいて、2つの異なる生息地の間を移動するときのエネルギーコストを算出した。そして、地域で利用可能なエネルギーの量(植生の量、すなわち一次生産量から推定)に基づいて、「バーチャルワールド(仮想世界)」のシミュレーションの中に地球の全鳥類のデータを投入した。その結果、エネルギーが重視されない世界と比較して、エネルギー効率を組み込んだモデルでのみ、実際の全世界の鳥類の季節的な分布パターンが再現されることが示された。研究チームは、このモデルは十分に一般的であり、イルカや魚類、クジラなど、移動性の高い他の動物への応用が可能であることも示唆している。
doi:10.1038/s41559-018-0556-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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