【動物行動学】マルハナバチの巣の中で起こっていること
Nature Communications
2018年4月4日
巣の中で食料が貯蔵されている中央部にいることを好むマルハナバチは、巣が撹乱された時に派遣バチに取って代わる可能性が相対的に高いことを明らかにした論文が、今週掲載される。
今回、James Crallたちの研究グループは、19か所の半自然状態のコロニーに生息する計約1700匹のマルハナバチの一種を、数週間にわたって個別に追跡する自動システムを開発した。この追跡観察から、マルハナバチの個体が非常に忠実に巣の中の特定の部分を居場所としており、幼虫の養育や食料の調達といった非常に専門化した任務を負っていることが明らかになった。次にCrallたちは、餌の調達を担う派遣バチを取り除いて巣を混乱させる実験を行い、その結果として派遣バチの役割を引き継いだハチの種類を同定した。派遣バチに取って代わる確率が最も高かったのは、巣の最も中央部にいる、食料の貯蔵場所と最も多く関わるハチだった。このことから、これらのマルハナバチの個体が巣の資源需要を最もよく知っていたことが示唆された。
今回の研究では、マルハナバチの巣における個体と集団の複雑な行動を明らかにしたことで、変化に対する超個体の回復力が明確に示された。マルハナバチはコロニーが小規模(働きバチが約50~200匹)で、激しく変化する過酷な気候の中で生息することが多いため、こうした柔軟性が非常に重要な意味を持っている可能性があると、Crallたちは結論付けている。
doi:10.1038/s41467-018-03561-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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