イエローストーンのマントル深部につながる管
Nature Geoscience
2018年3月20日
米国西部イエローストーン国立公園の火山活動は、地球内部深部の中心核-マントル境界から上昇するマントルプリュームにより駆動されている可能性があることを報告する論文が、今週発表される。
マントルプリューム(円柱状の流れで、高温の物質が湧昇していると考えられている)がイエローストーン国立公園の下に存在するか否かは、数十年にわたり熱い論争となってきた。大部分の地球内部の地震学的画像ではマントル深部までたどることが可能なプリューム様の特徴を明確に同定できなかったことから、マントルプリュームの存在自体が議論となっているのだ。
Peter NelsonとStephen Grandは、アーススコープ(米国の大規模地球観測プログラム)のUSArray計画により収集された地震学的データを用いて、北米下のマントルの画像を取得した。Nelsonたちはマントル内に、地震波の伝達が周囲より遅い(すなわち、異常に高温の物質の存在を示唆している)、傾斜した細長い領域を同定した。この領域はマントル内でほぼ連続しており、メキシコの下の中心核-マントル境界に根があり、そこから北東方向にイエローストーン国立公園まで延びている。
今回の発見から、地質学的過去の超大噴火だけでなく、熱水泉や有名な「オールドフェイスフル(イエローストーンにある間欠泉)」のような爆発的噴出を含むイエローストーン国立公園の火山活動が、究極的にはこの地球の中心核上層から上昇する深部マントルプリュームにより駆動されている可能性が示唆された。
doi:10.1038/s41561-018-0075-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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