Research Press Release
【惑星科学】火星の粘土の生成は蒸気大気の底の部分で起こった
Nature
2017年12月7日
火星の粘土は、火星のマグマオーシャンが冷却される際に放出された高密度の蒸気又は大気と火星の地殻が反応して生じたという考えを示す論文が、今週掲載される。
火星では、玄武岩地殻と液体の水が反応して水和粘土鉱物が生成したと考えられている。これまでに行われた火星の粘土の起源に関する研究は、ノアキス紀(約41億~37億年前)に着目していたが、粘土を含む岩石の大部分がこの時代のものと測定されていたためだった。これに対して、Kevin Cannonたちの研究グループは、それ以前の時代、つまり固体の地殻が初めて形成した時にマグマオーシャンの冷却によって放出された水と二酸化炭素の高密度の蒸気又は大気と反応して、粘土が生成したという新たな説を提示している。
Cannonたちは、そうした大気の底の部分と多孔質の地殻の深部に存在する条件の下で粘土が急速に生成したことを明らかにし、軌道上の宇宙船から観測できる粘土が露出した地形の分布の一因が天体衝突と火山活動であることを地殻進化モデルを使って明らかにした。
doi:10.1038/nature24657
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
環境:アマゾン先住民の領域が人間の健康に恩恵をもたらすCommunications Earth & Environment
-
動物学:タコはあらゆる作業に最適な腕を前面に出すScientific Reports
-
気候変動:主要な炭素排出源が熱波の強度と発生確率に影響を及ぼしているNature
-
惑星科学:地球近傍小惑星リュウグウの母天体には長い流体の歴史が存在するNature
-
古生物学:トカゲのような生物の起源をさらに遡るNature
-
惑星科学:火星の泥岩に残る特徴が古代の環境条件を解明する手がかりとなるNature