【健康】カフェインがマウスの減量にどのように役立つのか
Nature Communications
2017年6月28日
肥満マウスにカフェインを投与したところ、食欲が抑制され、エネルギー消費が増えて、その結果、体重が減ったことを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究では、このカフェインの効果に関係する神経回路の一部が同定され、カフェインによる代謝調節の機構に関する新たな知見が得られた。
カフェインの消費と体重増加の抑制が関連していることが明らかになっているが、その基盤となる過程はほとんど解明されていない。今回、Guo Zhangたちの研究グループは、この関連についての理解を深めるため、哺乳類のエネルギー収支を調節する主要な脳内領域である視床下部におけるアデノシン受容体(カフェインによって遮断される)の活性を調べた。今回の研究では、肥満マウスの視床下部でアデノシン受容体のシグナル伝達異常が観察されたが、カフェインを投与したところ食物摂取量と体重が減り、エネルギー消費が増えたことも明らかになった。こうした効果には、カフェインが介在しており、カフェインがアデノシン受容体に作用して、エネルギー代謝の既知の調節因子であるオキシトシンの分泌を促進している、という考えをZhangたちは示している。
今回の研究について留意すべき点は、末梢に投与されたカフェインの量が非常に多かったこと(60mg/kg、ヒトがカップ24~36杯のコーヒーを摂取する場合に当たると推定される)であり、肥満の治療法としての応用範囲は狭くなっている。カフェインの摂取については、一般集団において1日400 mgまでが安全と見なされている。
doi:10.1038/ncomms15904
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
化石:最も古く知られている「爬虫類」の足跡Nature
-
惑星科学:月内部の非対称性を示す証拠Nature
-
古生物学:「シカゴ」始祖鳥が、この古代鳥に新たな知見をもたらすNature
-
理論物理学:二体問題を解くNature
-
がん:乳がん治療薬の臨床試験で生存率の向上が示されたものの、がんの消失は限定的であったNature Communications
-
Nature Scientist at Work コンペティションの受賞者の発表Nature