Research Press Release

【気候科学】アジアの氷河は周辺地域の住民を干ばつの影響から守っている

Nature

2017年5月11日

Climate sciences: Asia’s glaciers protect against drought

アジアの高山地域にある氷河は、その下流に居住する人々を干ばつの影響から保護するという重要な役割を果たしているが、それが正当に評価されていないという研究報告が、今週発表される。夏季には、この氷河の融解水が1億3600万人の基本的ニーズ(具体的に言うと、パキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、キルギスタンの自治体と工業地帯で必要な量)を十分に満たしていることも明らかになった。

アジアの高山地域は、山岳氷河の密集度が世界で最も高く、その融解水に少なくとも部分的に依存している人々が8億人いる。この氷河の融解水は、極度の水不足と夏季の干ばつから地域住民を守る効果があり、インダス川とアラル川の上流域への水供給の大部分を担っている。しかし、氷河の質量収支(氷河の質量の増加分と流出分の差引勘定)の直接的な測定結果が非常に少なく、干ばつ期における氷河融解水の重要性について総合的な評価はなされていない。

今回、Hamish Pritchardは、数十年間にわたる河川流域全体での氷河の質量収支を推定し、この推定結果に平均降水量と渇水年の降水量のデータを組み合わせて、河川流域への水供給に対する氷河の寄与を定量化した。その結果、Pritchardは、アジアの高山地域の氷河からの夏季の正味の水供給量の合計が23立方キロメートルであることを発見した。これらの氷河がない場合には、インダス川上流域への夏季の月間の水供給量が、平均的な年には最大38%減少し、干ばつの年には最大58%減少することが明らかになり、アラル川上流域への夏季の水供給量の減少率が100%に達することが多いことも明らかになった。

doi:10.1038/nature22062

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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