Research Press Release
地衣類の化石が多様な適応を示す
Nature Plants
2017年4月25日
琥珀に封じ込められた新たな地衣類の化石150点以上が、今週のオンライン版で発表される。それは、「4700万~2400万年前の古第三紀の欧州中部が多湿で温帯林に覆われていた」という有力な見方を裏付けている。新たな化石が152点発見されたことで、知られている化石地衣類の総数は、15点から167点へと11倍に増加した。
地衣類は、真菌類が1種類以上の緑藻類やシアノバクテリアのすみかとなる共生関係によって形成される有機体である。その真菌類は、光合成でエネルギーを作り出す緑藻類やシアノバクテリアから利益を受け、緑藻類やシアノバクテリアは、真菌が提供する安全な環境と水による恩恵を得ている。化石化した地衣類の発見は極めてまれであり、これまで明瞭な化石の記載例はわずか15点であった。
Jouko Rikkinenたちは、古第三紀欧州の2カ所で発見された新しい地衣類化石が、この高度に特殊化した共生に関係するさまざまな構造および生育形を示すことを明らかにした。適応の多くは水の吸収、生殖、および光合成を支援するガス交換に関係するものであり、それぞれ個別の環境で水の取り込みと光合成と呼吸の複雑なバランスに適合するように進化している。そうした構造体はさらに、この時代の欧州中部が、深い熱帯林ではなく、もっと光が当たってこうした多種多様な生物を生じる温帯林に覆われていたという一般的な見方を証明している。
doi:10.1038/nplants.2017.49
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