地球科学:イギリスのヨーロッパからの最初の分離
Nature Communications
2017年4月5日
イギリスがヨーロッパ本土から地質学的に分離したのは2段階の過程があったとの報告が今週掲載される。新しい証拠は、イギリスとヨーロッパの間の最も狭い間隙であるドーバー海峡が開いたのは破壊的な洪水が引き起こした氷河湖の氾濫による浸食の結果であることを示唆している。海峡がどのように裂けたかを究明することは、ブリテン島の形成がイギリス諸島のコロニー形成をどのように変化させ、またどのようにヨーロッパ北西部からの水の流出を変化させたかに関する我々の理解に影響を及ぼす。
イギリスは、イギリス南東部からフランス北西部まで広がった白亜層の尾根を介して、かつてはヨーロッパ大陸とつながっていた。これまでの理論では、氷河湖からの溢出がドーバー海峡が開いた原因となったことを示唆しているが、この仮説を検証するには推測される分裂地点の高分解能データが不足していた。
Sanjeev Guptaたちは、海峡が開いたことには少なくとも2つの主要な浸食事象が関わっていることを示す新しい証拠を提示している。彼らの分析では、湖からの溢出が約45万年前に最初の浸食を起こし、滝が白亜層を切り開いて岩のせきを壊し、湖の水がイギリスの水路に流れ込んだというモデルを支持している。データは、ドーバー海峡が完全に開くためには2回目の破壊的な洪水が必要であることを明らかにしている。2回目の時期は明らかではないが、著者たちは海岸堆積物中の海洋軟体動物に基づいて約16万年前であると示唆している。
doi:10.1038/ncomms15101
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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