Research Press Release
【環境】カナダのオイルサンド採掘がエアロゾルに強く影響している
Nature
2016年5月26日
オイルサンド採掘事業が大気汚染物質の一種である二次有機エアロゾル(SOA)の大量発生の原因となっていることがカナダでの航空機測定において判明したことを報告する論文が、今週掲載される。
オイルサンドからの石油生産は、数々の環境問題の原因となっているが、SOAに対するオイルサンド採鉱の寄与は解明されていない。SOAは、大気中の有機化合物の化学変換によって発生する大気中粒子状物質の成分であり、大気の質と気候に影響することが知られている。
今回、John Liggioたちは、カナダ上空での航空機測定と室内実験とモデル研究を組み合わせて、SOAに対するオイルサンド採掘量の寄与について定量的評価を行った。その結果、Liggioたちは、採掘されたオイルサンドから排出される有機蒸気の蒸発と大気中での酸化が、航空機測定で記録されたSOAの大部分の発生の直接的原因であり、SOA産生速度が1日当たり45~84トンになったと結論付けた。
以上の新知見は、オイルサンドが北米における人為起源SOAの最大級の発生源であることを示唆している。Liggioたちは、現在行われており、あるいは現在計画中のビチューメン採掘プロジェクトと重油採掘プロジェクトの地球環境への影響を評価する際にこうした大気作用を考慮に入れるべきだと提唱している。
doi:10.1038/nature17646
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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