Research Press Release
プリオンの超高感度検出
Nature Medicine
2011年1月31日
ヒトのプリオンはクロイツフェルト-ヤコブ病(CJD)を引き起こす病原体だが、これを超高感度で検出する方法の報告が寄せられている。
異常な立体構造をもち病原性を示すプリオンタンパク質(PrPSc)を試験管内で増幅する技術が開発されたことにより、CJDの新しい診断法ができる可能性が出てきた。新 竜一郎(長崎大学)たちが開発したPrPSc検出法はリアルタイムQUIC(RT-QUIC:real-time quaking-induced conversion)法と呼ばれ、CJD患者の脳抽出液中のわずか1フェムトグラム(10-15グラム)のPrPScを短時間で検出できる。
この技術を利用して患者の脳脊髄液サンプル中のプリオンを実際に高感度で特異的に検出できたことが重要で、CJDを疑われる症例の早い段階での検出に、RT-QUIC法が利用できる可能性があることが明確になった。
doi:10.1038/nm.2294
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
がん:膵臓がんまたは大腸がんの患者において有望な効果を示すワクチンNature Medicine
-
生態学:熱波が熱帯の鳥類の個体数減少と関連しているNature Ecology & Evolution
-
気候変動:ペリト・モレノ氷河の後退が最近大幅に加速Communications Earth & Environment
-
考古学:スペインの洞窟で新石器時代の人肉食の証拠が発見されるScientific Reports
-
気候変動:鉱物資源の不足が低炭素化移行を制限する可能性Nature Climate Change
-
人類の進化:スラウェシ島における初期ホミニンの居住Nature