遺伝:出生時体重と成人期に発症する疾患との遺伝的関連
Nature
2016年9月29日
ヒトの出生時体重と成人期の疾患(2型糖尿病、心血管疾患など)に対する感受性との関係に重要な遺伝的要因のあることを報告する論文が、今週掲載される。今回の研究で、出生時体重に関連する60のゲノム領域が同定されたが、その大部分はこれまで同定されていなかった。
これまでに発表された論文では、出生時体重と将来的に疾患を発症するリスクが関連していることが報告されていたが、今回の論文では、この相関性において遺伝的多様性が役割を担っていることが実証された。
今回、Mark McCarthyたちは、さまざまな祖先をもつ15万3781人(ヨーロッパ人、アフリカ系アメリカ人、中国人、フィリピン人、スリナム人、トルコ人、モロッコ人を含む)の出生時体重に関する合計37件の全ゲノム関連解析(GWAS)のデータを総合して、出生時体重に関連する胎児の遺伝型が位置する60のゲノム領域を同定した。次に、McCarthyたちは、これらの遺伝的関連を解析して、出生時体重と疾患の関係を明らかにした。出生時体重と成人期に2型糖尿病や冠動脈疾患を発症するリスク要因とは、遺伝的逆相関の関係にあった。
今回の研究結果は、子宮内で起こる有害事象(例えば、栄養素の欠乏)が成人期の疾患の発症をもたらすとする学説と対照的だが、相いれないとは言い切れない点に注意すべきだとMcCarthyたちは述べている。また、McCarthyたちは、幼少期の事象とそれから数十年後に心血管代謝疾患にかかりやすくなることの関係が今後の研究で解明されるようになると指摘している。
doi:10.1038/nature19806
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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