Research Press Release

【エネルギー】太陽光発電のエネルギー消費と温室効果ガス排出に関するメリットがデメリットを上回るとき

Nature Communications

2016年12月7日

過去40年間にわたる太陽光パネル産業の発展を調べる研究が行われ、太陽光パネルの温室効果ガス排出削減効果が太陽光パネル産業の温室効果ガス排出量を累積ベースで上回り、太陽光パネルによるエネルギー生産量が太陽光パネル産業のエネルギー消費量を累積ベースで上回る時点が、今から2018年の間になることがモデル研究によって明らかになったことを報告する論文が、今週掲載される。この研究では、太陽光パネルをクリーンエネルギーの生産に使用することによって正味で利益が得られると結論づけている。

太陽光パネル産業は、よりクリーンなエネルギーの生産を目標としているが、製造時と設備稼働時にエネルギーを消費し、温室効果ガスを排出している。しかし、同産業の発展に伴って、太陽光パネルの製造工程の効率化が図られてきた。今回、Wilfried van Sarkの研究チームは、全世界の太陽光パネル産業を1976~2014年にわたって調べ、太陽光発電の設備容量が倍増するごとに製造時と稼働時のエネルギー消費量が約12~13%減少し、温室効果ガス排出量が約17~24%減ることを明らかにした。パネルに使用される材料の種類によって減少効果が異なっている。以上の結果は、太陽光パネル産業におけるエネルギーと温室効果ガスの収支が既に黒字に転じているか、黒字に転じるのが間近であることを意味している。

van Sarkたちは、太陽光パネルのライフサイクル全体の評価結果を検討し、著者独自のモデルを国連と国際エネルギー機関(IEA)のデータベースと比較した。また、van Sarkたちは、自らのモデルの不確実要因を分析し、最悪のシナリオによる場合でも、2017年にはエネルギーの生産量が消費量を上回り、2018年には温室効果ガスの削減効果が排出量を上回るようになることを明らかにした。

doi:10.1038/ncomms13728

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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