Research Press Release
細胞周期の4段階を全て捉える
Nature Methods
2016年11月1日
新しい蛍光タンパク質を利用して生細胞の細胞周期の4段階全てを同時に視覚化する新しい方法が、今週のオンライン版の掲載論文で発表される。その技術は、細胞周期およびその調節の様子を詳細に捉えることを可能とするため、発生生物学およびがん形成の解明を促進することができる。
細胞は、静止、成長、DNA複製、および分裂の各段階を繰り返す。複数の異なるレポータータンパク質からのシグナルを同時に画像化することが技術的に困難であるため、その4段階を識別することは最近まで困難であった。この制約を克服するため、Michael Linたちは蛍光タンパク質mMaroon1を開発した。これは可視光スペクトルの遠赤色側の蛍光タンパク質で、青緑色、緑色、および橙色の蛍光タンパク質と同時に画像化することができる。研究チームはこの遠赤色レポーターを利用して細胞周期のS期(DNA複製)・G2期(成長)間の移行を示すタンパク質を標識し、従来の方法では4段階のうち3段階しか識別することができなかったのに対し、4段階全てが識別されるようにした。
細胞周期の実際的な調節を理解することは、正常な生物学的機能の理解に不可欠である。細胞周期の調節の問題が理解されれば、一部の細胞ががん化する理由に関して重要な洞察が得られることになり、その情報は将来的な治療の進歩につながる可能性がある。
doi:10.1038/nmeth.4045
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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