【健康】マウスの希少な組織石灰化症の治療に役立つ酵素
Nature Communications
2015年12月2日
乳児全身性動脈石灰化(GACI)という致命的な先天性希少疾患の新しい治療法を提唱する論文が、今週掲載される。
強力な石灰化阻害物質である細胞外ピロリン酸(PPi)をほとんど持たない新生児の血管壁にはカルシウムが蓄積する。その結果、血管が硬くなり、血液を流すために心臓を強く拍動させなければならなくなって、最終的には心不全が起こる。現在の治療法には重篤な副作用があり、新たな治療法が必要とされている。
細胞外PPiの産生は、ENPP1という酵素によって調節されている。このENPP1酵素を産生するための情報を提供する遺伝子の変異がヒトとマウスのGACIを引き起こす。
今回、Ronald Albrightたちは、GACIを先天的に有するマウスにENPP1酵素を毎日注射することによって血管の石灰化と死亡を予防できることを明らかにした。Albrightたちは、42日間にわたって、GACIのマウス8匹にENPP1酵素の皮下注射を毎日行い、この治療を受けないGACIのマウス8匹を対照群とした。この研究の終了時には、この酵素補充療法を受けたGACIのマウス8匹全部が生き残り、血管石灰化の徴候は見られなかった。これに対して、GACIの素因を持ち、治療を受けなかったマウスは、ほとんどGACIで死んでおり、1匹だけが生き残った。また、この酵素補充療法を2週間しか受けなかったGACIのマウス2匹は、石灰化を再発した。
ENPP1療法の長期的効果は解明されていないが、今回の研究では、GACIだけでなく、もしかすると他のありふれた組織石灰化症の治療にも使える可能性のある新規物質が同定された。
doi:10.1038/ncomms10006
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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