Research Press Release
【材料科学】切り紙の手法で作られた太陽電池で太陽を追尾する
Nature Communications
2015年9月9日
太陽電池パネルによる太陽追尾の効率を高める可能性を秘めた新しい手法についての報告が、今週掲載される。標準的な太陽電池パネルは、太陽追尾能力が1日の間に変化するため、全体的な効率が下がってしまうが、今回の研究では、太陽への曝露を最大化させる新しい方法が明らかにされた。
太陽を追尾して1日中太陽エネルギーを捕集できるようにするための従来技術では、太陽電池パネルの角度を容易に変化させると同時にシステムの重量を支えるために大型で高価な装置が使用されていた。今回、Max Shteinたちは、二次元パターンを切り出して太陽電池を作り、それを引き伸ばすことで、傾きのついた三次元の太陽電池アレイを作り出せることを実証した。この新しい手法は、日本の切り紙の手法を模倣していることから“kirigami(切り紙)”と命名された。
このように引き伸ばされた太陽電池に加わるひずみを調節すれば、太陽電池の光学的特性と機械的特性を最適な状態にできる。この手法は、まだ設計段階にあり、今後の研究が必要だが、Shteinたちの測定結果によれば、太陽追尾効率は従来の追尾システムに匹敵するレベルに達しており、従来の方法に代わって太陽電池の効率を最大化するための単純かつ軽量な方法といえる。
doi:10.1038/ncomms9092
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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