Research Press Release
【物理】2つの振り子時計の同期現象を音波によって説明する
Scientific Reports
2015年7月23日
同じ壁に掛かった2つの振り子時計が同期するという奇妙な現象は、振り子時計を発明したクリスチャン・ホイヘンスによって17世紀に初めて観察された。今週掲載される論文では、その原因が音波パルスの交換であることが示唆されている。今回の研究では、理論モデルと実験結果の組み合わせが、こうした説明を導き出す上で役立った。
ホイヘンスは、同じ壁に掛かった2つの振り子時計あるいは2脚の椅子の上に置かれた板から吊り下げられた2つの振り子時計の振り子を観察して、振り子の動きが同期するようになったことを発見した。この2つの系については数々の説明が提案されているが、最初の事例(同じ壁に掛かった2つの振り子時計)のモデル化の方が難しかった。今回、Henrique OliveiraとLuis Meloは、伝搬する音波パルスが時計から時計へと移動して、振り子の揺れを乱し、同期させるという仮説を提示した。OliveiraとMeloは、壁に固定されたアルミ製のレールに取り付けられた2つの振り子時計の振り子を観察することで、この仮説を検証した。その結果からは、振り子の揺れの速さの変化が音波パルスの生成周期と一致していることが示唆されている。
doi:10.1038/srep11548
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物学:笑い声を聞いたボノボは、報酬を期待する可能性が高まるScientific Reports
-
コンピューターサイエンス:コンピュータービジョンの研究が監視技術にどのように活用されているかNature
-
生態学:バッタの群集行動を抑制Nature
-
天文学:新惑星の発見が宇宙の知識の空白を埋めるNature
-
ゲノミクス:古代 DNA がカルパチア盆地の多様なコミュニティー組織を明らかにするNature Communications
-
化学:細菌がプラスチック廃棄物を鎮痛剤に変換Nature Chemistry