【遺伝】英国の中等教育修了試験の成績を左右する遺伝子
Scientific Reports
2015年7月23日
英国では、16歳の生徒がGCSE(中等教育修了試験)という一連の試験を受けるが、この試験のさまざまな科目の成績に同じ複数の遺伝子が影響を及ぼしているという結論を示した論文が、今週掲載される。また、GCSEの成績は非常に遺伝性が高く、試験結果の分散の半分以上が親から受け継いだDNAの違いを原因としている可能性があることが今回の研究によって示唆されている。
GCSEの主要科目である英語、数学、科学の成績は、同じ複数の遺伝形質の影響を受けている可能性のあることが従来の研究で明らかになっていた。しかし、こうした遺伝的要因が、それ以外のさまざまな科目にも影響しているのかどうかは明確になっていない。
今回、Kaili Rimfeldたちは、12,632人の双生児のデータが関係する遺伝的モデルを用いて、GCSEの結果に遺伝的要因が影響を及ぼしているかどうかを調べた。Rimfeldたちは、一卵性双生児(遺伝子が100%同じ)と二卵性双生児(分離する遺伝子の約50%が同じ)を比較して、試験成績の遺伝性の程度を計算した。その結果、英語、数学、科学、人文科学、第二外国語などの科目の成績についてかなりの程度の遺伝性が認められ、同じ複数の遺伝子によって部分的に調節されている可能性が明らかになった。また、この遺伝的影響が知能とほぼ無関係なことも明らかになった。
Rimfeldたちは、さまざまな科目の成績に着目して、その原因となる遺伝子を同定する研究の促進が、今回の研究結果によってもたらされる可能性があると考えている。
doi:10.1038/srep11713
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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