Research Press Release

【衛生】都市部の植林で健康感を増進させる

Scientific Reports

2015年7月9日

都市部の樹木が増えると、住民の健康感が増し、心臓・代謝性疾患の発生件数が減ることを明らかにした研究論文が、今週掲載される。

今回、Marc Bermanたちは、都市部の各地区の緑地(特に街路樹、公園、各家庭の庭など)と住民が自覚する健康感との関係を調べた。Bermanたちは、トロント(カナダ)の住民31,109人を対象としたオンライン質問票に対する自己申告データを用いて、街路樹の密度の高い地区の住民の方が、自覚的健康感が高いことを明らかにした。また、街路樹の少ない地区の住民と比べて、高血圧症や肥満などの心臓・代謝性疾患が少ないことも明らかになった。

Bermanたちは、街路樹が1街区あたり10本増えて、樹木密度が4%高まると、住民の自覚的健康感が高まり、その改善効果が世帯収入の10,200ドル(約120万円)増加あるいは7歳の若返りに匹敵することを明らかにした。また、街路樹が1街区あたり11本増えると、心臓・代謝性疾患の発生件数が減り、その効果は、年間個人所得の20,000ドル(約240万円)増加あるいは1.4年の若返りに匹敵するものだった。

今回の研究では、こうした有益な効果が生じる機構は特定されていないが、Bermanたちは、大気の質の向上、ストレスの軽減、身体活動の活発化のいずれもが自己申告の健康度の改善に寄与する要因となっている可能性があると考えている。

doi:10.1038/srep11610

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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