注目の論文
息を吐いて肺がん検査
Nature Nanotechnology
2009年8月31日
Lung cancer in a breath
高湿度雰囲気中で肺がん患者と健常者の呼気を判別できる、金ナノ粒子でできたセンサーについて報告する論文が、Nature Nanotechnology(電子版)に掲載される。このセンサーをもとにして、肺がんのための低コスト非侵襲性診断ツールができるかもしれない。
呼気検査は、吐き出される息に含まれる揮発性有機化合物(VOC)と病状の結びつきを明らかにできることが知られている。VOCの測定法にはさまざまなものがあるが、既存の方法は高コストで時間がかかり、測定前にがんバイオマーカーの濃度を上げる必要がある。H Haickらが報告している携帯型検出技術は、がん患者と健康な被験者の呼気を迅速に判別でき、そのために何らかの前処理や呼気標本の除湿を行う必要がない。
この9個のセンサーからなるセンサーアレイは、肺がんと関係するさまざまなVOCに応答する各種有機基で機能化された金ナノ粒子によって構成されている。Haickらは、VOCの人工混合物を用いて、健常者とがん患者の模擬呼気を作り、このセンサーを使って検査した。この2種類の呼気は、パターン認識によって明確に判別でき、その結果は、実際の呼気を使った実験で集められたデータとよく対応した。
このデバイスは、比較的低コストで、携帯でき、臨床に広く普及することが期待されている。
doi: 10.1038/nnano.2009.235
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