地球科学:世界の都市の地盤沈下を調査
Nature Cities
2026年10月13日
Geoscience: Investigating sinking cities worldwide
465都市の衛星観測にもとづき、メキシコシティ(メキシコ)やメダン(Medan;インドネシア)など、世界各地の主要都市で地盤沈下が生じていることを報告する論文が、Nature Cities に掲載される。この知見は、建物、インフラ、地域社会へのリスクを軽減するため、対策が必要な地域を特定するのに役立つ可能性がある。
地盤沈下とは、地面が徐々に沈み込む現象であり、建物や基礎、排水・下水システムに損傷を与え、洪水のリスクを高める可能性がある。しかし、地盤沈下の動態に関する情報は依然として限られている。このため、政策立案者がリスクが深刻化している場所や緊急の対策が必要となり得る場所を特定することは難しい。これまでの評価では、異なる手法や期間が使われたり、ごく少数の都市にのみ焦点を当てたりすることが多く、世界的な比較が困難であった。
Shengli Tao、Xie Huら(北京大学〔中国〕)は、2014~2023年に収集された高解像度衛星データを分析し、107か国465都市の地盤変動を測定した。メキシコシティの一部では、年間約217 ミリメートルという最も速い局所的な沈下が記録されたが、市全体での沈下率の中央値は年間8ミリメートルであった。同じくメキシコにあるトレオン(Torreón)でも、年間約17 ミリメートルの沈下が観測された。地域別では、アジアで地盤沈下が最も深刻であった。市全体の沈下率の中央値が最も高かったのは、インドネシアのメダン(年間約33ミリメートル)とバンドン(Bandung;年間22ミリメートル)、イランのイスファハン(Isfahan;年間11ミリメートル)であった。
ボストン、ニューヨーク市、ロンドン、北京、東京、ソウル、シドニー、モンテビデオ(Montevideo;ウルグアイ)、ナポリ(Naples;イタリア)では、年間の地盤変動はおおむね安定しており、推定される沈下率および隆起率は年間0.1~1.9 ミリメートルの範囲であった。推定値が小さいため、これらの測定値は慎重に解釈する必要がある。
著者らは、この9年間の研究が大都市の局地的な相対地盤沈下を対象としているため、行政境界外の地域が分析に含まれていない場合があると指摘している。また、地上観測点の密度が低い地域では、不確実性が高くなるとしている。継続的なモニタリングは、地盤沈下の傾向が続くかどうかの確認や、対象を絞った対策の検討に役立つと考えられる。
- Article
- Published: 12 October 2026
Wang, L., Ao, Z., Tao, S. et al. A global view of urban land subsidence and its changing trajectories. Nat Cities (2026). https://doi.org/10.1038/s44284-026-00527-8
Research Briefing: Global patterns and temporal dynamics of urban subsidence
https://www.nature.com/articles/s44284-026-00528-7
doi: 10.1038/s44284-026-00527-8
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