注目の論文

天文学:白色矮星を公転する惑星の大気

Nature

2026年7月2日

Astronomy: The atmosphere of a white dwarf planet

Nature

白色矮星を公転する惑星をジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST:James Webb Space Telescope)で観測した結果、この惑星の大気の詳細が明らかになった。この知見は、太陽が寿命を終えた後の太陽系の運命について新たな手がかりをもたらす可能性がある。この研究成果は、Nature にオープンアクセスで掲載される。

太陽を含むほとんどの恒星は、最終的に白色矮星を残して一生を終える。このような恒星進化の過程が、恒星を公転する惑星にどのような影響を及ぼすかは、まだ十分には解明されていない。白色矮星を公転する惑星候補はいくつか見つかっており、惑星が、恒星が白色矮星になる前に赤色巨星へと進化する段階を生き延び得ることを示している。しかし、こうした惑星の大気組成についてはほとんどわかっていない。

Ryan MacDonaldら(セント・アンドルーズ大学〔英国〕)は、JWSTの分光器による観測から、地球から25パーセク離れた、推定年齢約100億年の系にある白色矮星を公転する惑星「WD 1856 b(White Dwarf〔白色矮星〕)」の大気を検出したと報告している。著者らは、この大気がメタンとエアロゾルを豊富に含むことを明らかにした。WD 1856 bの質量は、木星質量(MJ)の約4.3~10.9倍と推定されている。この惑星の大気は、現在のように主星からわずか0.02天文単位(約300万キロメートル)という近接軌道へ移動する過程で再加熱されたと考えられる。また、著者らは、この惑星の大気温度を約390~412 K(ケルビン)と算出しており、これは巨大惑星で予想される温度(160 K)を上回る。この発見は、赤色巨星段階の終了から数十億年後に、惑星の再加熱が起こったことを示している

著者らは、WD 1856 bが、白色矮星を公転するトランジット惑星として初めて詳細に特徴づけられた例であると提唱している。この惑星の移動、および大気の組成と温度の進化に関する観測は、恒星が一生を終えた後の惑星系の運命を科学者が解明するうえで役立つ可能性がある。

MacDonald, R.J., O’Connor, C.E., Boehm, V.A. et al. Aerosols and hydrocarbons in the atmosphere of a white dwarf planet. Nature 655, 76–80 (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10514-7
 

doi: 10.1038/s41586-026-10514-7

英語の原文

注目の論文

「注目の論文」一覧へ戻る

Nature Japanとつながろう:

advertisement
プライバシーマーク制度