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地球科学:人工光放出の地球規模での変化

Nature

2026年4月9日

Earth science: Global changes in human-made light emission

Nature

2014年から2022年の間に、世界全体で夜間の人工光の放出量が約16%増加したことを報告する論文が、Nature にオープンアクセスで掲載される。この研究では、夜間の光の変化を示す地図が提示されており、これらは世界規模で見た人間活動による「光の足跡」の複雑さを明らかにするとともに、光の放出量の変化に影響を与える要因についての知見を提供している。

夜間の光放射を用いて人間の活動を測定することは、人間のインフラの変化や特定のエネルギー源からの転換を評価するうえで強力なツールとなる。これまでの夜間の人工光の観測は、長期的な傾向を記録する衛星に重点が置かれていたが、その結果、停電や建設工事といった局所的な事象や、都市化やLED(light-emitting diode;発光ダイオード)への移行といった緩やかに進行する変化をとらえることができなかった。

Tian Li、Zhe Zhuら(コネチカット大学〔米国〕)は、2014年から2022年にかけて、地球の有人居住地域(北緯70度から南緯60度の間)を対象に、1日あたり116万枚の衛星画像を用いて夜間の人工光を評価した。その結果、分析対象地域のうち351万平方キロメートルで、夜間の人工光に少なくとも1回の変化(明るくなる変化と暗くなる変化の両方を含む)が確認された。より詳しく見ると、その地域の51%で漸進的な変化が、14%で急激な変化が、そして35%でその両方が確認された。著者らは、また、9年間の調査期間中、夜間の人工照明による世界全体の明るさが16%純増(明るくなった部分が34%、暗くなった部分が18%で相殺)したことを明らかにし、これは人口増加を上回るペースであると指摘している。

351万平方キロメートルの調査地域のうち、計20%の地域で照明の急激な変化が2回以上発生しており、これは建設や解体、エネルギーの不安定化(ベネズエラでの送電網の故障など)、化石燃料の生産、あるいは社会的な混乱(中東での紛争など)の時期を示唆している。著者らは、世界の多くの地域で夜間の人工光にきわめて動的で双方向の変動が見られることを発見した。一方、自然保護区や人里離れた砂漠など、人口や開発が限られている地域では、比較的安定した状態が維持されていた。

著者らは、この発見が、人工光の放出は単一の現象としてとらえることはできず、実際には、さまざまな時間スケールで発生する明るさの増減の局所的な集まりから構成されているという見解を裏づけるものであると指摘している。今後の研究では、夜間の人工光の変化に対する社会経済的な反応を調査することが考えられる。

シュプリンガーネイチャーは、国連の持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)、および当社のジャーナルや書籍で出版された関連情報やエビデンスの認知度を高めることに尽力しています。本プレスリリースで紹介する研究は、SDG 9(産業と技術革新の基盤を作ろう)に関連しています。詳細は、「SDGs and Springer Nature press releases」をご覧ください。

Li, T., Wang, Z., Kyba, C.C.M. et al. Satellite imagery reveals increasing volatility in human night-time activity. Nature 652, 379–386 (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10260-w
 

doi: 10.1038/s41586-026-10260-w

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