注目の論文

レーザー駆動のガンマ線源

Nature Physics

2011年9月19日

Laser-driven gamma-rays

従来の線源よりも小さくて安価なデバイスで、放射性同位体が発生するガンマ線よりも輝度の高いガンマ線パルスをオンデマンドで生み出す方法が、Nature Physics(電子版)で報告される。このデバイスによって、ガンマ線透過写真による輸送用コンテナのスクリーニングの利用が促進され、核反応の研究にガンマ線がより多く利用できるようになる可能性がある。 ガンマ線は電磁放射線の一種で、医用イメージングに用いられるX線よりも波長が短く、より深くまで浸透する。ガンマ線の一般的な用途には、がん治療、殺菌による食品寿命の延長、核物質、兵器、爆発物に対する貨物のスクリーニングなどがある。今のところ、このような用途には、コバルト60やセシウム137などの放射性同位体の核崩壊によって放射されるガンマ線が用いられている。 D Jaroszynskiたちが実証したこのデバイスは、高強度レーザーを用いて、プラズマを通して電子ビームを加速し、同時に電子の共鳴振動を励起して、ガンマ線の高強度ビームを発生させている。このビームの強度は、放射性同位体が生み出す放射線よりもはるかに高い。このガンマ線源は、従来の加速器を用いた放射線源よりも小さくて安価でもあるので、科学研究にガンマ線がより広く利用できるようになるかもしれない。

doi: 10.1038/nphys2090

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度