発生学:ヒトの初期発生を解明する新たな手掛かり
Nature
2021年11月18日
Embryology: Insights into early human development
初期発生の重要な事象である原腸形成過程におけるヒト胚を細胞レベルと分子レベルで初めて詳細に調べた結果について報告する論文が、今週、Nature に掲載される。今回の知見は、ヒトの発生における中心的段階だが、なかなか調べることができない原腸形成期について、独自の手掛かりをもたらしている。
原腸形成は、ヒトの初期発生における決定的瞬間であり、原腸形成過程は、受精の約14日後に始まり、1週間強にわたって続く。現在のところ、ヒトの原腸形成の解明は、実験モデルを使った研究が大部分を占めており、ヒト胚を直接調べた研究はない。原腸形成期のヒト胚は入手困難で、これまで国際的ガイドラインによってヒト胚の培養が受精後14日以内に限定されてきたことが一因になっている。
今回、Shankar Srinivasたちは、自発的妊娠中絶の後に研究に提供された単一のヒト胚(受精後16~19日に相当する)を分析し、存在する細胞タイプとそれらが発現する遺伝子を詳細に明らかにし、実験モデルと比較した。検出された細胞の中には、始原生殖細胞(卵子または精子細胞の元になる前駆細胞)と赤血球が含まれていた。また、Srinivasたちは、原腸形成期に神経系における細胞運命の指定が始まっていないことも明らかにした。
今回調べられたのは単一のヒト胚だが、得られた知見は、他のモデル系での実験を解釈するための新たな背景となるものである。また、Srinivasたちは、これらのデータは、これまで探究されていなかったヒト胚発生の主要段階である原腸形成に関する独自の知見をもたらしたと結論付けている。
doi: 10.1038/s41586-021-04158-y
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