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技術:メタノール中毒の予防に役立つ小型デバイス

Nature Food

2020年6月16日

Technology: A pocket-sized device that can help prevent methanol poisoning

Nature Food

アルコール飲料中のメタノール濃度を測定できる手のひらサイズの携帯用検査装置とスマートフォンのアプリを組み合わせたシステムについて報告する論文が、Nature Food に掲載される。このシステムは、消費者、アルコール蒸留業者、警察当局、医療従事者向けのもので、人体に有害な量のメタノールがアルコール飲料に含まれていないかを容易に調べることができ、致命的なメタノール中毒を回避できる可能性がある。

アルコール飲料では、飲料の効力を強くしてより大きな利益が得られるようにするために、安価なメタノールを容積比で最大50%まで意図的に混入させることがある。また、メタノールは、不適切な醸造や蒸留によってアルコール飲料に蓄積することもある。2017~2019年には、306例のメタノール中毒の集団発生が登録されており、約7104人が罹患し、1888人が死亡した。メタノール中毒の集団発生の90%は、アジアで起こっている。現在のところ、メタノール検査法のゴールドスタンダードは液体クロマトグラフィーである。この方法は、混合物に含まれるさまざまな種類の化学物質を分離して測定する実験技術だが、時間と費用がかかる。

今回、Andreas Güntner、Sotiris Pratsinisたちの研究チームは、メタノールとエタノールを高速で検出できる低コストでスマートフォン対応の携帯用分析装置を開発した。この分析装置は、著者たちが以前に設計したセンサーを使用しており、このセンサーは、栓の開いたアルコール飲料の容器の上に置くと、アルコール飲料からの蒸気や気体の試料を吸収する。センターは、メタノールとエタノールを異なる速度で処理するため、これら2つの化学物質を連続的に検出できる。そして、アプリ上で、メタノールとエタノールの濃度が表示され、メタノールの濃度が有害である可能性があれば、警告が表示される。Güntnerたちは、この分析装置の精度を、既知の濃度のメタノールを添加した89種類のアルコール飲料を使って調べた。その結果、この分析装置は、107日間連続して使用した場合でも、メタノールを正確に検出できることが分かった。

doi: 10.1038/s43016-020-0095-9

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