【物理学】時空の歪みをより正確に測定する原子時計
Nature
2018年11月29日
Physics: Atomic clocks to better measure space-time distortion
時空の重力歪みを、地球の表面全体にわたって現在の方法より正確に測定できる次世代の光原子時計について報告する論文が、今週掲載される。この光原子時計は、重力波の検出、一般相対性理論の検証、および暗黒物質の探索に利用できる。
時間の経過は絶対的なものではなく、観測者の基準座標系に依存している。そのため、時計の計測は、相対速度、加速度、重力ポテンシャルに対する感度が高く、山頂に設置された時計は、山頂の重力ポテンシャルが地表よりも強いため、地表面に設置された時計よりも早く進む傾向がある。重力場の異なる場所に置かれた複数の時計を比較する際には、共通の基準面が必要となる。地球上でそのような基準面となるのがジオイド(全球規模の平均海水準と最も一致する地球重力場の等ポテンシャル面)で、現在は、全地球航法衛星システムによる高さの測定と重力を考慮に入れたジオイドモデルによる高さの測定によって決定されている。いずれの方法も数センチメートルの不確実性という制約があるが、原子時計の使用によってこうした不確実性を減らすことができる。
原子時計は、光周波数での特定の原子遷移の測定に基づいている。次世代の原子時計は、重力の相対論的効果に対する感度が高いため、ジオポテンシャルを測るプローブとして利用できる可能性がある。
今回William McGrewたちの研究グループは、3つの基本的ベンチマークに照らして、2つのイッテルビウム光格子時計の特徴を明らかにした。クロック周波数の単位で、システム不確実性が1.4 × 10^-18、計測不安定性が3.2 × 10^-19であることが判明し、局部周波数の反復的比較によって得られた再現性は、時計間の周波数差が10^-19のオーダーだった。このような性能によって、ジオイドを1センチメートル未満の不確実性で決定でき、現在の技術より高い性能が達成された。
doi: 10.1038/s41586-018-0738-2
注目の論文
-
4月2日
気候科学:煤の排出が少ない航空機エンジンでも飛行機雲を減らさないNature
-
4月2日
天体物理学:ブラックホールの質量における「禁制領域」の確認Nature
-
3月26日
気候:中程度の温暖化でも極端な地球規模の気候変動が起こるかもしれないNature
-
3月26日
工学:乾燥地域における炭素貯留の新たな解決策Nature
-
3月17日
天文学:リュウグウの試料から5種類すべての核酸塩基が検出されるNature Astronomy
-
3月12日
天文学:マグネターが超明るい超新星のエンジンであるかもしれないNature
