ミツバチはコロニーの利益を大きくするために負担を引き受ける
Nature Physics
2018年9月18日
Honeybees take the strain for the colony’s greater good
休息している群れのミツバチは、たとえ個々のミツバチに負担がかかるとしても、群れ全体の形を変えることで物理的かく乱に応答することを報告する論文が、今週掲載される。
ハチは、個体よりも群れを優先させるさまざまな集団行動を示すことが知られている。セイヨウミツバチ(Alis mellifera Linnaeus)は、女王バチと一部の働きバチが、群れを離れて新たな群れを形成する分封によって、新たなコロニーを作る。その際、偵察バチが適当な営巣地を探している間、残りの群れは近くの木に集まって、主に逆円錐型のクラスターを形成する。このクラスターは、環境の変化に応答して形と密度を変え、高温や雨、風、捕食に耐えて、凝集した超個体として群れを保つ。
今回Orit Pelegたちは、ミツバチの群れがかく乱に耐える仕組み解明するため、ミツバチの円錐状のクラスターを板の下面に付け、さまざまな振幅、周波数、継続時間で振動させた。その結果、水平方向に振動させると、群れが自己組織化して、当初の円錐形より機械的に安定した扁平な構造になることが分かった。
Pelegたちは粒子ベースのシミュレーションを用いて、ミツバチの群れは、個々のハチが、経験するひずみに対してひずみを増大させる方向に動いて応答することによって適応し、グループの安定性を最大化できることを示している。このように、見かけの集団知能に必要な長距離信号伝達は、ミツバチの物理的相互作用によって実現されている。今回の結果は、集団行動が局所の化学的手掛かりを通した相互作用に起因しており、長距離作用はほとんど影響しないとする従来の考えを補完するものである。
doi: 10.1038/s41567-018-0262-1
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