注目の論文
観測されたクォークスープのストレンジネス
Nature Physics
2017年4月25日
Quark soup’s strangeness observed
CERNの大型ハドロン衝突型加速器で陽子どうしの衝突によってストレンジクォークを含む粒子が生成され、予想外に多く観測されたことが、今週のオンライン版で報告されている。
ビッグバンの直後には、陽子や中性子のような素粒子はまだ形成されていないが、その構成要素であるクォークやグルーオンは、熱い始原的なスープの中を自由に動き回っていた。クォークグルーオンプラズマと呼ばれるこの混合物は、衝突型粒子加速器の内部で重原子核を衝突させることで再現できる。クォークにはいくつかの種類がある。例えば、アップクォークとダウンクォークは通常の物質を形成しているが、高エネルギー物理実験では、ストレンジクォークが大量に生成されることがある。クォークグルーオンプラズマが形成される原子核衝突では、ストレンジ粒子生成の増大が予測され、既に観測されている。
今回ALICE Collaborationは、クォークグルーオンプラズマが形成されるとは予測されていなかった、原子核よりはるかに軽い陽子の衝突において、こうした効果を初めて観測したことを報告している。さらに、ストレンジ粒子生成量の増大に関連する、他の予想外の特徴も見いだされた。今回の観測結果によって、ストレンジクォーク生成の背後にある機構に関する手掛かりが得られ、始原的なクォークスープからどのようにしてストレンジ粒子が初めて現れたかについての理解が深まるだろう。
doi: 10.1038/nphys4111
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