がん遺伝学:DCAF5を標的にするとSWI/SNFの安定化によってSMARCB1変異がんが抑制される
Nature 628, 8007 doi: 10.1038/s41586-024-07250-1
がん遺伝子は小型の分子によって阻害される可能性があるが、腫瘍抑制因子の喪失はもっと広く見られ、標的とすべき腫瘍抑制因子タンパク質がもはや存在しないために解決が難しい。注目すべき例にSMARCB1が変異しているがんがあり、これはSWI/SNF(別名BAF)クロマチンリモデリング複合体の1個のサブユニットの不活性化によって起こる非常に致死性の高い悪性腫瘍である。今回我々は、がん依存性マッププロジェクト(Cancer Dependency Map Project)の一環として、SMARCB1変異のもたらす結果について機構的知見を得てその脆弱性を明らかにするために、14種類のSMARCB1変異体細胞株を提供してほぼゲノム規模のCRISPRスクリーニングを行った。SMARCB1変異がんの生存には、ほとんど調べられていないDCAF5(DDB1–CUL4-associated factor 5)遺伝子が必要なことが分かった。DCAF5はSWI/SNF複合体の品質管理機能を持ち、SMARCB1がない状態で不完全に形成されたSWI/SNF複合体の分解を促進する。DCAF5の枯渇後には、SMARCB1が欠失したSWI/SNF複合体が再び蓄積して標的座位に結合し、SWI/SNFを介した遺伝子発現が回復して、がん化状態を解消するのに十分なレベルにまで達することが、in vivoの場合を含めて明らかになった。従って、がんはSMARCB1の機能喪失自体が原因ではなく、DCAF5を介したSWI/SNF複合体の分解の結果である。これらのデータによって、ユビキチンを介した品質管理因子を治療標的にすれば、腫瘍抑制複合体の破壊によって引き起こされるいくつかのがんの病態を効果的に回復させられる可能性が示された。

