Article

保全生物学:昆虫の生物量の34年にわたる増減を気象が説明する

Nature 628, 8007 doi: 10.1038/s41586-023-06402-z

昆虫は生態系機能において中心的な役割を担っており、そのため、中央ヨーロッパやその他の地域で最近数十年の間に保護地域の昆虫の生物量が75%以上減少したことは、世間に不安を与えて意思決定者に対応を迫り、昆虫個体群の傾向に関する研究を活性化させた。しかし、昆虫の生物量の減少の駆動要因は今なおあまり解明されていない。今回我々は、Hallmannらによって以前報告された27年にわたる昆虫の生物量データに関して、試料採取時の気象条件および昆虫がその生活環において経験した異常気象に関する、試料に固有な情報を用いて再解析を行った。このモデルによって、近年認められた生物量の増加も含め、昆虫の生物量の経時的減少の変動が、そうした気象変数のみに基づいて説明された。陸上の昆虫生物量が主として複雑な気象条件によって駆動されるという我々の知見は、気候変動は熱帯でより深刻である、あるいは、温帯での悪影響は未来にしか生じ得ないという従来の想定に異を唱えている。最近認められた生物量の増加に反して、好ましくない気象条件が複数年にわたって新たに組み合わさることにより、今後も続く気候変動の下で昆虫個体群がさらに脅かされる可能性がある。今回の知見はまた、年ごとの気象条件や異常気象に影響される生理学的機序に関する気候変動研究をさらに推進する必要があることも示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度