Article

量子物理学:量子プロセッサーにおける時間結晶の固有状態秩序

Nature 601, 7894 doi: 10.1038/s41586-021-04257-w

量子多体系は、低温平衡状態において豊かな相構造を示す。しかし、自然界の大部分は熱平衡状態にはない。注目すべきことに、最近になって、平衡系では平衡熱力学によって禁止される可能性がある新しい動的相を、平衡から外れた系が示し得ることが予測されており、その典型的な例が離散時間結晶(DTC)である。具体的に、動的相は、周期的に駆動される多体局在(MBL)系において、固有状態秩序という概念を通して定義できる。固有状態秩序を持つMBL相では、多体スペクトル全体が量子相関と長距離秩序を示し、あらゆる初期状態から遅れて現れるダイナミクスにその特徴がある。しかし、そうした安定相を、過渡現象や、典型的な挙動が少数の選択状態に隠されている可能性がある領域から実験的に識別することは困難である。今回我々は、調整可能な制御位相(CPHASE)ゲートを超伝導キュービットのアレイ上に実装してMBL-DTCを実験的に観測し、一般的な初期状態に対するその特徴的な時空間応答を実証した。この研究では、時間反転プロトコルを用いて外部デコヒーレンスの影響を定量化するとともに、量子典型性を利用して、固有スペクトルの密なサンプリングに伴う指数関数的に増えるコストを回避している。さらに我々は、実験による有限サイズ解析によって、DTCからの相転移の位置を特定した。今回の結果は、量子プロセッサー上で物質の非平衡相を調べるスケーラブルな手法を確立するものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度