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神経科学:嗅覚によるナビゲーション時に梨状皮質に作られる空間地図

Nature 601, 7894 doi: 10.1038/s41586-021-04242-3

においは、知覚環境の基本要素の1つで、採餌やナビゲーションなどの動物の行動を導くのに用いられる。一次嗅覚皮質(梨状皮質)は、においの種別を符号化する主要な皮質領域と考えられている。今回我々は、においを手掛かりとした空間選択課題を実行中の自由行動ラットの神経集団記録を用いて、後部梨状皮質ニューロンが環境のロバストな空間表現を担っていることを示す。梨状皮質の空間表現は、学習で得られた認知地図の特徴を持ち、におい情報の出入口付近で最も強く、行動の状況によらず安定で、嗅覚による動因や報酬の入手可能性とは関係がなかった。個々の梨状皮質ニューロンの担う空間情報の精度は、海馬のシータリズムとの機能的共役の強さから予測できた。梨状皮質ニューロン集団は、においの種別を表現すると同時に動物の空間位置も表現し、におい–場所地図を形成していた。今回の結果は、空間認知における梨状皮質の機能を明らかにするとともに、梨状皮質がにおい–場所連関を形成し、におい手掛かりによる空間ナビゲーションを導くのに適していることを示唆している。

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