Article

環境化学:COVID-19のロックダウン期間における環境NO2濃度の全球規模の微細な変化

Nature 601, 7893 doi: 10.1038/s41586-021-04229-0

二酸化窒素(NO2)は大気汚染の重要な原因物質であり、ヒトの健康に悪影響を及ぼすことがある。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のまん延を抑えるためのロックダウン対策の結果として、NO2濃度の低下が報告されている。しかし、人工衛星から得られた大気カラムのNO2濃度のデータと健康に関連する地表の環境中濃度の関係や、全球的評価に対する地上の限られたモニタリングデータの代表性に関しては、疑問が残っている。今回我々は、TROPOMI衛星によって十分に高い分解能(約1 km)で観測されたNO2のカラム密度から、空間的に解像された全球の地表NO2濃度を導出し、COVID-19ロックダウン期間における個々の都市の評価の2019年と2020年の比較を可能にした。我々は、これらの推定値を適用して、主に低所得地域にある地上モニタリングを利用できない65都市を含む、200以上の都市においてNO2濃度の変化を定量化した。厳しいロックダウン状態の国における国レベルの人口加重平均NO2濃度は、そうしたロックダウンが実施されていない国に比べて29 ± 3%低いことが分かった。長期的な傾向と比較すると、COVID-19ロックダウン期間のNO2濃度の低下は、最近のオゾン監視装置(OMI)によって得られた排出規制による年ごとの低下を上回っており、全球で15 ± 4年の削減に相当する。今回の事例研究は、ロックダウンに対するNO2レベルの感度が国や排出セクターによって異なることを示しており、人工衛星由来の地表面濃度の推定値から得られる空間的に解像された観測情報が非常に重要であることを実証している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度