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分子生物学:イントロンのない可動性エレメントのHUSHを介したサイレンシングによるゲノム監視

Nature 601, 7893 doi: 10.1038/s41586-021-04228-1

全ての生命体は、DNAの侵入から自身のゲノムを守っている。真核細胞は侵入してきたDNAを認識し、その転写を抑制性のクロマチン修飾によって制限する。HUSH(human silencing hub)複合体は、ヒストンH3リシン9トリメチル化(H3K9me3)を介して、L1(long interspersed element-1)レトロトランスポゾンやレトロウイルスを転写的に抑制する。しかし、HUSHがこれらの侵入遺伝エレメントを認識し、サイレンシングを開始する仕組みは分かっていない。今回我々は、HUSHが、イントロンのない多様な長い導入遺伝子を認識して、転写的に抑制できることを示す。HUSHによって抑制される導入遺伝子へイントロンを挿入すると、イントロンのスプライシングが起こらない場合でも抑制が妨げられた。HUSHは、H3K9me3沈着の前やH3K9me3沈着とは無関係に、標的座位からの転写産物に結合しており、標的の転写は、HUSHを介したH3K9me3沈着の開始と伝播の両方に不可欠であった。ゲノムデータからは、HUSHが、細胞のmRNAのレトロトランスポジションによって生じたイントロンのない内在性遺伝子のサブセットに結合して抑制する仕組みが明らかになった。従って、逆転写の特徴であるイントロンのないcDNAは、侵入したレトロエレメントと宿主遺伝子を識別するための汎用的方法になり、以前にその特定の侵入エレメントに曝露されたことがなくても、HUSHは「非自己」DNAからゲノムを守ることができる。我々の知見は、転写依存性のゲノム監視系の存在を明らかにし、また、その系が、宿主遺伝子の不適切な抑制を回避しながら、新たに獲得したエレメントに対して迅速な防御を提供する仕組みを説明している。

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