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がん:哺乳類全体にわたって調べたがんリスク

Nature 601, 7892 doi: 10.1038/s41586-021-04224-5

がんは、後生動物でよく見られる一般的な病気であり、より大型で長寿命の生物が冒されることが不釣り合いに多いと予測されている。このような生物は細胞分裂の回数が多く、体細胞変異の可能性が高くなることがその理由である。1つの種内では、より大きい体サイズや寿命の長さに伴ってがんリスクが上昇することが報告されているが、ピートのパラドックスでは、タクソン間では見かけ上はそのような関連性がないことが示されている。しかし、モデル動物種以外でがんリスクを推定することは難しいため、ピートのパラドックスに対する明確な実験的証拠はない。今回我々は、動物園の哺乳類成体(191種の11万148個体)についてのデータを用いて、がん関連死亡率に関するデータベースの構築と解析を行い、齢で対照付けしたがん死亡率を、哺乳類の系統樹にマッピングした。その結果、哺乳類での発がん現象は広く見られ、かつ高頻度であることが実証され、哺乳類の主要な目にわたってがん死亡率にかなりの差異があることが明らかになった。また、がん死亡率の系統的分布は食餌と関連しており、がん関連死亡率が最も高いのは肉食哺乳類(特に哺乳類を食べる類)であることが分かった。我々はさらに、がん死亡率リスクは種にわたって体重と成体平均余命のどちらにもおおむね依存しないことを明らかにし、ピートのパラドックスの体サイズと寿命という要素について決定的な証拠を示した。これらの結果は、がんに対する耐性の形成に生活史の進化が重要な役割を持つことを明らかにし、がんに対して本来備わっている防御力の探索を大きく前進させるものである。

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