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地球科学:アキモトアイト–ブリッジマナイト相転移によって起こる660 km不連続面の沈降

Nature 601, 7891 doi: 10.1038/s41586-021-04157-z

660 km地震学的不連続面は、地球の下部マントルと遷移層の境界であり、リングウッダイトからブリッジマナイトとフェロペリクレースへの相転移(ポストスピネル転移)に起因すると一般的に解釈されている。660 km不連続面の明瞭な特徴は、沈み込み帯の下で750 kmまで沈降していることである。しかし、マルチアンビル技術を用いたin situのX線回折研究によって、負だが緩やかなポストスピネル転移のクラペイロン勾配(すなわち、圧力変化と温度変化の比)が明らかになっており、この勾配では著しい沈降が起こることはない。その一方で、これまでの高圧実験では、回避することのできない加熱の際の圧力変化と準安定相の残存のために、正確な鉱物相の同定が困難であった。本論文では、相平衡の定義に厳密に基づいたポストスピネル転移境界とアキモトアイト–ブリッジマナイト相転移境界を、in situのX線回折を用いたマルチアンビル実験によって決定した。ポストスピネル転移境界はほぼ温度依存性がないが、アキモトアイト–ブリッジマナイト相転移は、周囲のマントル地温よりも低い温度では急峻な負の勾配を示す。従って、温度の低い沈み込み帯における660 km不連続面の大きな沈降は、アキモトアイト–ブリッジマナイト相転移と解釈できる。アキモトアイト–ブリッジマナイト相転移が急峻な負の境界となっているため、著しい上向きの浮力によってスラブの滞留(スラブの下降の停止)が起こる。

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