Article

フォトニクス:集積フォトニクスが可能にする連続ビーム電子位相変調

Nature 600, 7890 doi: 10.1038/s41586-021-04197-5

集積フォトニクスによって、原子、トラップイオン、量子ドット、欠陥中心などの多種多様な量子系において、基本的な光–物質相互作用の広範な制御が容易になる。最近、超高速電子顕微鏡法によって、自由電子ビームがレーザーを用いた量子操作や特性評価の対象になり、自由電子量子ウォークの観測、アト秒電子パルス、ホログラフィック電磁イメージングが可能になった。チップベースのフォトニクスは、ナノスケールの量子制御やセンシングにおいて独自の応用が見込まれるが、電子顕微鏡法においてはまだ実現されていない。今回我々は、集積フォトニクスと電子顕微鏡法を融合し、窒化ケイ素微小共振器を用いて、連続電子ビームのコヒーレント位相変調を実証する。高フィネス(Q0 ≈ 106)共振器増強と、位相整合用に設計された導波路によって、極めて低い連続波光パワーで効率の良い電子–光散乱がもたらされた。具体的には、我々は、わずか5.35 μWの共振器結合パワーで初期電子状態を十分枯渇させ、数ミリワットで500を超える電子エネルギーサイドバンドを生成した。さらに我々は、電子エネルギー利得分光法において、マイクロ電子ボルトの分解能で、共振器内の一方向場を調べた。このファイバー結合フォトニック構造は、入力光と出力光の完全制御による単一光モードの電子–光相互作用を特徴とする。この手法によって、レーザー位相板、ビーム変調器や連続波アト秒パルス列、共鳴増強分光法、レーザー誘電体加速との関連で、電子ビーム制御を向上するための汎用的かつ効率の高い枠組みが確立された。今回の研究は、自由電子量子光学を調べる普遍的なプラットフォームを提示するもので、将来、強結合局所量子プロービングや電子–光子エンタングルメントの分野を発展させる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度